オスグッドは「ただの成長痛」ではない
オスグッドは成長期に多く起こります。成長期には骨の成長に対して筋肉の柔軟性などが追いつきにくくなり、さらに走る、跳ぶ、蹴るといったスポーツ動作による負荷が繰り返されることで、脛骨粗面に痛みが生じます。
特に大腿四頭筋は膝蓋腱を介して脛骨粗面につながっています。
そのため、大腿四頭筋による牽引ストレスが繰り返されることは、オスグッドを考える上で非常に重要です。
つまり、「成長しているから痛いだけ」ではありません。
成長期という要素に加えて、スポーツによる負荷が関係して起こる立派なスポーツ障害です。
オスグッドに対する保存療法では、活動量の調整や運動療法、ストレッチなどが用いられています。ただし、どの運動療法が最も有効かについては、まだ質の高い研究が十分ではありません。
基本的にはスポーツをすべて休ませない
PlusTRAINERSでは、オスグッドだからという理由だけで、基本的にすべてのスポーツ活動を休止させることはしていません。もちろん、
- 走ると強く痛む
- ジャンプができない
- 蹴るたびに痛みが増える
- 翌日まで明らかに悪化する
- 試合が続いている時期なのか
- オフシーズンなのか
- 大会直前なのか
大切なのは、「やるか、休むか」の二択にしないこと。
痛みが出る動作を減らす。
練習量を調整する。
フォームを変える。
できるトレーニングを続ける。
そうやって負荷をコントロールしながら改善を目指します。
オスグッドの選手を対象に、活動量を調整し、痛みを確認しながら筋力トレーニングと段階的なスポーツ復帰を行った研究でも、症状や筋力、ジャンプ能力の改善が報告されています。
まず見るのは大腿四頭筋
オスグッドの選手を見る時に、まず重要になるのが大腿四頭筋の状態です。特に柔軟性が低下している選手では、大腿四頭筋から脛骨粗面に加わる牽引ストレスが大きくなりやすいと考えます。
そのため、PlusTRAINERSでは大腿四頭筋のストレッチをよく行います。
ただし、オスグッドなのに、膝を強く曲げて痛みを我慢しながらストレッチするというのは違います。
膝を曲げれば曲げるほど、脛骨粗面周辺に痛みが出る選手もいます。
その場合は姿勢や方法を変え、患部に痛みを出さずに大腿四頭筋をストレッチすることを大切にしています。
ストレッチはオスグッドに対してよく用いられる方法ですが、現在の研究では特定のストレッチ方法が他の方法より優れていると断定できるほどのエビデンスはありません。
大腿四頭筋だけが原因ではない
オスグッドだから、「四頭筋が硬いからストレッチ」だけで終わらせるわけでもありません。実際の選手を見ていると、
- ハムストリングスが硬い
- 臀筋がうまく使えていない
- 体幹が安定しない
- 片脚でバランスを取れない
例えばハムストリングスが硬く、骨盤の動きが制限される。
臀筋がうまく働かない。
するとスポーツ動作の中で股関節を十分に使えず、膝を中心に動くようになることがあります。
その結果、走る、止まる、跳ぶ、しゃがむといった動作で大腿四頭筋に頼りすぎる。
こうした身体の使い方も改善したいところです。
「股関節を使えない選手」は多い
オスグッドの選手を見ていて、特に気になるのが、股関節をうまく使えず、膝主導で動いている選手です。例えばしゃがむ時。
股関節を後ろへ引いて、お尻やハムストリングスを使いたいところで、膝だけを前へ出してしゃがむ。
ジャンプの着地でも同じです。
股関節で衝撃を受けられず、膝ばかり曲げて身体を止める。
こうした動作では大腿四頭筋への負担が大きくなります。
そのため、
- 殿筋
- ハムストリングス
- 股関節周囲筋
などをトレーニングし、膝だけで頑張らず、股関節も使える身体を作っていきます。
骨盤が後傾した姿勢にも注意する
もう一つよく見るのが、骨盤が後傾した姿勢でプレーしている選手です。骨盤が後ろへ倒れ、腰が丸くなったような姿勢で走る、止まる、構える。
このような姿勢では股関節をうまく使いにくくなり、結果的に膝周囲に負担が集中することがあります。
だからオスグッドのリハビリでは、膝だけを見るのではなく、
- 骨盤
- 股関節
- 体幹
- バランス能力
- スポーツ動作
足首は「柔らかければ柔らかいほどいい」ではない
オスグッドの原因として、「足首が硬いから」と言われることもあります。もちろん、競技動作に必要な可動域が不足していれば改善が必要です。
ただ僕自身は、スポーツ選手の足首は、柔らかければ柔らかいほど良いとは考えていません。
走る、跳ぶ、切り返すといった動作では、足首周囲にある程度の剛性があることもパフォーマンスには必要です。
そのため、「足首が硬いから全部伸ばす」ではなく、
その選手の競技に必要な可動域があるか、動きの中で問題になっているかを見て判断します。
痛みは多少あってもいい?
これはよく聞かれるところです。PlusTRAINERSでは、少しでも痛みがあればすべて中止とは考えていません。
ただし、痛みを無視して続けるわけでもありません。
- 練習中にどの程度痛むのか
- 練習後に悪化するのか
- 翌日まで残るのか
- 試合が近いのか
- オフシーズンなのか
オスグッドの復帰や活動継続では、トレーニング負荷の管理と痛みの程度が重要と考えられています。
大切なのは、痛みを我慢することではなく、痛みを指標に負荷をコントロールすることです。
テーピングや物理療法も使いながら
必要に応じて、テーピングなどを使いながらスポーツを続けることもあります。PlusTRAINERSでは状態に応じて超音波などの物理療法を併用することもあります。
ただし、こうした方法だけでオスグッドの根本的な問題がすべて解決するわけではありません。
現在の研究でも、オスグッドに対する保存療法はさまざまな方法が使われていますが、特定の治療方法について質の高いエビデンスはまだ限られています。
そのため、
- 痛みを軽減する
- 練習量を調整する
- 柔軟性を改善する
- 筋力を高める
- 動作を改善する
成長が終わるのを待つだけにしない
オスグッドは成長期のスポーツ選手に多い障害です。成長とともに症状が落ち着いていくケースが多いのも事実です。
だからといって、「成長が終わるまで我慢してください」だけで終わらせるのはもったいないと思っています。
なぜ大腿四頭筋に負担が集中しているのか。
股関節を使えているか。
臀筋やハムストリングスは働いているか。
体幹を安定させられるか。
スポーツ動作に問題はないか。
今できることはたくさんあります。
そして、それらを改善することはオスグッドのためだけではありません。
スポーツ選手としての身体能力や動作の改善にもつながります。
オスグッドは正しくリハビリする
オスグッドになった。だからスポーツを全部休む。
成長が終わるまで待つ。
それだけではありません。
もちろん、症状が強ければ一時的に練習を大きく減らす必要がある場合もあります。
でも、できるだけ競技を続けながら、負荷をコントロールして身体を変えていく。
大腿四頭筋の柔軟性を改善する。
臀筋やハムストリングスを使えるようにする。
体幹機能を高める。
股関節主導の動きを作る。
姿勢を改善する。
そして、痛みが出にくい身体の使い方を覚える。
オスグッドは、「成長痛だから仕方ない」で終わらせるものではありません。
成長期に起こる、立派なスポーツ障害です。
だからこそ、正しい評価と、正しいリハビリを。
スポーツを続けながら改善できる方法を、一緒に考えていくことが大切だと思います。


