骨癒合を目指すなら競技はしっかり休む
まず大前提として、自己判断で競技を続けながら治そうとしないこと。特に骨癒合を目指して治療している期間は、医師からスポーツを禁止されているのであれば、その指示をしっかり守る必要があります。
腰椎分離症の保存療法では、競技活動を一時的に制限し、必要に応じて装具やリハビリテーションを組み合わせる方法が用いられています。
痛みがなくなったから、少しくらいなら大丈夫。
チーム練習にちょっとだけ参加する。
ということはおすすめしません。
腰椎分離症は、痛みが比較的早くなくなることがあります。
しかし、痛みがないことと、骨が治っていることは同じではありません。
画像所見や医師の判断を確認しながら進めることが大切です。
競技を休むことと、何もしないことは違う
スポーツは禁止。だからトレーニングも全部禁止。
とは限りません。
腰部への負担を避けながら、患部以外をトレーニングできるケースはあります。
実際、若年アスリートの腰椎分離症でも、適切に管理された運動療法を取り入れ、身体機能を維持・改善しながら競技復帰につなげていく考え方があります。
もちろん、何をしてよいかは病期や医師の指示によって違います。
その範囲を守ったうえで、競技復帰した時に必要になる身体を作っておく。
これが大切だと思っています。
今までのボトルネックを改善する
僕がこの期間に特に大切だと思っているのが、自分の競技力を邪魔していたボトルネックを改善することです。例えば野球選手。
腰椎分離症だからといって、すべてのトレーニングができなくなるわけではありません。
医師から許可された範囲で、
- リストトレーニング
- 肩のインナーマッスル
- 肩甲骨周囲のトレーニング
など、腰部への負担が少ない部分はトレーニングできます。
投手であれば、
- 肩の安定性が弱かった
- 前腕が弱かった
- 肩甲骨周囲の機能が不十分だった
そういった課題があるなら、この期間にしっかり取り組む。
競技をしている時には、毎日の練習や試合に追われて、こういった細かい部分になかなか時間を使えないこともあります。
だからこそ、競技を休んでいる今だからできることもあります。
股関節周囲のトレーニングも大切
PlusTRAINERSでは、股関節周囲のトレーニングもよく行います。- 殿筋
- 中臀筋
- 内転筋
- ハムストリングス
などです。
これは単純に脚の筋力を落とさないためだけではありません。
腰椎分離症からのリハビリや、競技復帰後の身体の使い方にもつながってきます。
スポーツ動作で股関節をうまく使えず、腰部ばかりが動いている選手もいます。
復帰してから以前と全く同じ身体の使い方をしていれば、再び腰に大きな負担がかかる可能性があります。
そのため休止期間中から、股関節を使える身体を作っておく。
という考え方は大切だと思っています。
体幹トレーニングは「何をするか」よりフォーム
腰椎分離症になると、「体幹を鍛えた方がいいですか?」と聞かれることがあります。体幹トレーニングも行います。
ただし、プランクをやっておけばいいという話ではありません。
特に注意したいのがフォームです。
- プランクをしていても、腰が反っている
- 腕立て伏せで腰が落ちている
- 体幹を固定したつもりでも、腰部で姿勢を作っている
これでは、腰を守るためのトレーニングが逆に腰へ負担をかける可能性があります。
プランクを行う場合も、腰部を必要以上に動かさず、体幹を適切にコントロールできているかを確認します。
また、体幹を固定した状態で股関節を動かすようなトレーニングもよく行います。
腰椎分離症のリハビリテーションでも、体幹筋のコントロールを高め、最終的には全身の動作や競技動作につなげていくことが重要とされています。
ウエイトトレーニングは慎重に
コルセットをしているからといって、空いている時間にどんどんウエイトトレーニングをすればいい。というわけでもありません。特に重量を持つ種目は慎重に考えます。
立位で重量を持つトレーニングは、姿勢が崩れれば腰部への負担が大きくなります。
寝た姿勢で行うトレーニングでも、腰を反って重量を支えていれば同じです。
PlusTRAINERSではこの時期に、無理に重量を持たせることはしません。
上半身のウエイトトレーニングを行うとしても、状態を確認しながらダンベルプレスなど種目を選びます。
リストトレーニングなど、腰部への負担を抑えながら行えるものは積極的に取り入れます。
大切なのは、「できるか、できないか」ではなく、「腰を守った状態で正しくできるか」です。
腕立て伏せも意外と注意が必要
腕立て伏せなら腰とは関係ない。と思うかもしれません。でも、フォームを見ると意外と腰が反っている選手がいます。プランクも同じです。
種目名だけを見て、「これは腰のトレーニングではないから大丈夫」と判断するのではなく、実際にその種目を行った時に腰部がどうなっているかを見ることが重要です。
これはコルセット中だけではなく、腰椎分離症から復帰した後のトレーニングでも同じです。
競技練習は基本的に休む
骨癒合を目指して治療しているのであれば、基本的には競技練習には参加させません。せっかく競技を休止して骨癒合を目指している時期に、
- 少し投げる
- 少し蹴る
- 少し走る
ということを繰り返すのは避けたいところです。
何が許可されているかは医師の判断によりますが、今は競技をする時期なのか、身体を作る時期なのかを分けて考えることが大切です。
競技復帰は、医師から運動許可が出てから段階的に進めていけばいい。
その時にしっかり動ける身体を、この期間に準備しておきます。
「何もできない期間」にしない
腰椎分離症になると、どうしても「みんなから遅れてしまう」という気持ちになりやすいと思います。確かに、競技練習や試合経験という部分では一時的に遅れるかもしれません。
でも、その期間に何をするかで復帰した時の状態は大きく変わります。
- 今まで弱かったところを強くする
- 体幹の使い方を覚える
- 股関節周囲を強くする
- 肩や肩甲骨周囲を強くする
- 競技に必要だけれど、今まで後回しにしていた部分を鍛える
そう考えると、腰椎分離症で休んでいる期間は、ボトルネックをなくすチャンスでもあります。
復帰した時に以前より良い選手になる
ケガをする前の状態に戻る。もちろん、これは一つの目標です。
でも僕は、せっかくリハビリをするなら、ケガをする前より良い身体で戻ってほしいと思っています。
競技ができない期間を、ただ休んで終わるのか。
それとも、自分の弱点を見つけて改善する期間にするのか。
数週間、数か月という期間で考えると、その差はかなり大きくなります。
腰椎分離症になったこと自体は良いことではありません。
でも、その期間をどう使うかは自分次第です。
医師の指示を守り、腰部をしっかり治しながら、今できるトレーニングを続ける。
そして復帰する時には、「休む前より身体が強くなった」と言える状態を目指す。
腰椎分離症でコルセットをしている期間は、ただ待つ時間ではなく、競技復帰後にさらに上のレベルへ進むための準備期間にしてほしいと思います。


