痛みがなくなっても焦って復帰しない
腰椎分離症の選手を見ていると、競技を休止してしばらくすると、「もう全然痛くありません」という状態になることがあります。選手としては、痛くなければ当然スポーツをしたくなります。
ただ、ここで自己判断で一気に練習へ戻るのはおすすめできません。
腰椎分離症では、症状だけでなく病期や骨の状態などによって治療方針が変わります。
そのため、画像所見や医師の判断を確認し、運動が許可された範囲の中で復帰を進めていくことが大前提です。
「痛くないから大丈夫」ではなく、
「今、どこまで運動してよい状態なのか」
を確認することが大切です。
いきなり100%の練習には戻さない
医師からスポーツ動作の許可が出たとしても、すぐに通常練習へ100%復帰するわけではありません。しばらく競技から離れていた身体に、突然以前と同じ負荷をかければ、腰への負担も一気に増えてしまいます。
PlusTRAINERSでは一つの目安として、
25% → 50% → 75% → 100%
というように段階的に運動強度を上げています。
ここでいう25%や50%は、厳密な数値ではなく選手の主観的な運動強度の目安です。
例えばランニングなら、最初はかなり余裕のあるスピード。
問題がなければ少しずつスピードを上げる。
そして最終的に全力のダッシュへ。というように進めます。
基本的には一週間程度それぞれの強度で身体の反応を確認しながら、次の段階へ進んでいきます。
これは腰椎分離症に対する医学的な共通ルールではなく、医師から許可された範囲の中でPlusTRAINERSが競技復帰を進める際に使用している一つの方法です。
文献でも、腰椎分離症のリハビリテーションでは、身体機能を確認しながら段階的に競技特異的な動作へ戻していくことが推奨されています。
練習中だけでなく「その後」を見る
復帰を進める時に大切なのが、その場で痛くなかったからOKと判断しないことです。運動した直後は問題がなくても、
- その日の夜に痛くなる
- 翌朝に腰が痛い
- 翌日の練習で違和感が出る
ということもあります。
そのため、PlusTRAINERSでは運動中の状態だけでなく、トレーニング後や翌日に症状が悪化していないかも確認します。
問題がなければ次の段階へ。
少しでも症状が悪化すれば、無理に次へ進まず一度止まる。
復帰を早くするために無理をするのではなく、一段ずつ確実に進めていくことが、結果的にはスムーズな競技復帰につながると考えています。
復帰中もトレーニングは続ける
競技復帰が始まっても、リハビリやトレーニングが終わるわけではありません。むしろここからが大切です。
PlusTRAINERSでは特に、
股関節周囲の筋力や機能。
体幹を安定させる力。
身体全体を使った動作。
などを確認しながらトレーニングを継続します。
股関節周囲では、
- 中臀筋
- 内転筋
- 殿筋群
- ハムストリングス
などの機能を重視しています。
また、身体を動かした時に腰部が必要以上に動かないよう、体幹を固定する能力も大切です。
腰椎分離症の若年アスリートに対するリハビリテーションでも、体幹のコントロールや筋力・持久力を高め、最終的に競技動作へつなげていくことが重要とされています。
「腰が硬いから」「腹筋が弱いから」だけではない
腰椎分離症から復帰する時には、単純に筋力をつけるだけではなく、どのように身体を使っているかも確認します。特に気になるのが、腰部主体でスポーツ動作を行っている選手です。
本来は股関節などを使って大きな動きを作りたいところで、腰を大きく反ったり、捻ったりして動きを作っている。
こういった動作を繰り返していると、競技復帰後も再び腰部に負担が集中する可能性があります。
そのため、腰で動くのではなく、股関節を使って動く。
ということを意識しながらフォームを改善していきます。
スイングやロングキック、ダッシュも段階的に
競技によって腰に負担のかかる動作は違います。例えば、
- 野球のスイング
- サッカーのロングキック
- 全力でのダッシュ
- ジャンプ
- 投球動作
など、スピードやパワーが大きくなるほど身体への負荷も高くなります。
こういった動作をいきなり100%で行うのではなく、強度を少しずつ上げながら確認します。
そして、ただ痛みなくできればいいわけではありません。
- 腰部主体のフォームになっていないか
- 股関節をうまく使えているか
などもチェックし、必要であればフォームそのものを修正します。
競技復帰は、「元の動きに戻す」だけではなく、以前より腰に負担のかかりにくい身体の使い方を身につける機会でもあると思っています。
100%まで戻ったら試合へ
25%50%
75%
100%
と段階的に練習強度を上げ、その後も問題がなければ試合復帰へ進みます。
ただし、100%の動きができるようになったからといって、最初の試合からフル出場する必要はありません。
競技によりますが、最初は出場時間やプレー量を限定して、試合というさらに負荷の高い環境に身体を慣らしていきます。
練習と試合では、
- 運動量
- スピード
- 緊張感
- 疲労
なども違います。
「練習復帰」と「試合復帰」も少し分けて考えることが大切です。
復帰したらリハビリ終了ではありません
試合に戻ることができれば、ひとまず競技復帰という目標は達成です。しかし、そこで身体づくりを終わらせないことも大切です。
腰椎分離症からスポーツ復帰した若年選手では、一定数の再発も報告されています。
再発予防のためにも、
- 股関節周囲の筋力
- 体幹機能
- 柔軟性
- 競技動作
- 身体の使い方
などは、復帰後もさらに改善していきます。
腰椎分離症になったことを、「休んで治して終わり」にするのではなく、なぜ腰に負担が集中していたのかを見直し、以前より良い身体の状態でスポーツを続けられるようにする。
そこまでがリハビリだと考えています。
腰椎分離症からの復帰は焦らないこと
腰椎分離症では、痛みがなくなると早く復帰したくなる選手が多いです。ただ、痛みがないことと、競技に100%復帰できることは同じではありません。
まずは医師の診察や画像所見に基づいた運動許可を守る。
そこから運動強度を少しずつ上げる。
トレーニングを継続する。
スポーツ動作を確認する。
必要であればフォームを修正する。
そして試合復帰後も身体機能をさらに高めていく。
焦らず一つずつ段階を踏んでいくことが、競技へしっかり戻るために大切だと思います。


