肩鎖関節とは
肩鎖関節は、鎖骨の外側と肩甲骨の肩峰によって構成される関節です。
肩甲骨が動く際の支点となり、腕を上げる、押す、引く、物を持つといった動作に関係します。

肩鎖関節は、主に次の靱帯によって支えられています。

  • 肩鎖靱帯
  • 烏口鎖骨靱帯

外力によってこれらの靱帯が損傷すると、肩鎖関節が不安定になり、重症例では鎖骨が上方へ浮き上がったように見えます。
主な原因
肩鎖関節損傷の多くは、肩の外側へ直接強い力が加わることで発生します。

  • 肩から地面へ転倒した
  • 自転車やスキーで肩を強く打った
  • コンタクトプレーで肩からぶつかった
  • ラグビーやアメフトでタックルを受けた
  • 柔道や格闘技で肩から落ちた
  • 転倒して腕や肘をついた

肩関節脱臼とは異なる外傷です。肩関節脱臼では上腕骨頭が肩甲骨の関節面から外れますが、肩鎖関節脱臼では鎖骨と肩峰をつなぐ関節や靱帯が損傷します。
主な症状
  • 肩の一番上が痛い
  • 肩鎖関節を押すと強く痛む
  • 腕を上げると痛い
  • 腕を反対側へ動かすと痛い
  • 横向きで寝ると痛む
  • 腕を下げていると肩が重く感じる
  • 肩の上に腫れや内出血がある
  • 鎖骨の先端が浮き上がっている
  • 腕立て伏せやベンチプレスで痛む
  • 重い物を持つ、押す、引く動作で痛む

強い変形、著しい腫れ、腕のしびれ、手の冷たさなどがある場合は、骨折や神経・血管の損傷を伴っている可能性もあるため、速やかな受診が必要です。
肩鎖関節損傷の重症度
肩鎖関節損傷は、靱帯の損傷と鎖骨のずれ方によって分類されます。

軽症では肩鎖靱帯を中心とした捻挫や部分損傷にとどまります。重症になると肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯が断裂し、鎖骨が大きくずれることがあります。

一般的には、軽度の損傷では保存療法が中心となります。大きく転位した重症例では手術が選択されることがあり、中間的な損傷では年齢、仕事内容、スポーツ、変形や不安定性の程度を考慮して治療方針が決定されます。
検査と診断
医療機関では、受傷状況、痛みの場所、変形、肩の動きなどを確認します。

X線検査では、鎖骨のずれや肩鎖関節・烏口鎖骨間の広がり、鎖骨骨折などの有無を確認します。必要に応じて反対側と比較したX線検査や、CT・MRIなどが行われることもあります。

転倒後に肩の上が強く痛む場合は、自己判断で単なる打撲とせず、整形外科を受診してください。
肩鎖関節損傷の治療

保存療法

軽度から中等度の損傷では、保存療法が選択されることがあります。

急性期には、

  • 三角巾や装具による一時的な保護
  • 痛みを強める動作の制限
  • 消炎鎮痛薬
  • 症状に合わせた可動域運動
  • 肩周囲の筋力トレーニング

などが行われます。

必要以上に長く肩を動かさないと、肩の硬さや筋力低下が残る可能性があります。痛みと損傷の程度を確認しながら、肩甲帯の動きと筋力を段階的に回復させます。

保存療法では鎖骨の突出が残る場合がありますが、見た目の変形と痛み・機能障害の程度は必ずしも一致しません。

手術療法

鎖骨のずれが大きい重症例や、保存療法を続けても痛みや不安定性が残る場合には、手術が検討されます。

手術では、損傷した烏口鎖骨靱帯や肩鎖関節周辺の安定性を再建し、鎖骨を適切な位置へ保持します。

手術後は修復した靱帯や固定部を保護しながら、可動域、筋力、支持能力を段階的に回復させる必要があります。

保存療法でのリハビリ

1.痛みに合わせて肩を動かす

急性期は痛みを強める動作を避けながら、肘や手首を動かし、肩の硬さを防ぎます。

症状が落ち着いてきたら、

  • 腕を前へ上げる
  • 腕を横へ上げる
  • 肩を内側・外側へひねる
  • 肩甲骨を動かす

といった運動を段階的に行います。

2.肩甲骨周囲の筋力を回復する

肩鎖関節損傷後は、痛みや鎖骨の不安定性によって肩甲骨の動きが変化することがあります。
僧帽筋、前鋸筋、腱板などを強化し、腕を上げる時に肩甲骨が安定して動く状態を目指します。

3.押す・引く・持つ力を戻す

日常生活や仕事では、腕を上げるだけでなく、荷物を持つ、扉を押す、物を引くといった動作が必要です。

軽い負荷から始めて、

  • チューブ運動
  • 軽いダンベル運動
  • 壁へのプッシュ
  • 四つ這いでの荷重
  • プッシュアップ
  • ウエイトトレーニング

へ段階的に進めます。

4.手をついて身体を支える

転倒時の支持やコンタクトスポーツへの復帰には、腕で身体を支え、急に加わる力へ対応する能力が必要です。

壁や床に手をつく運動から始め、肩鎖関節の痛みや翌日の反応を確認しながら負荷を高めます。
スポーツ復帰
スポーツ復帰は、受傷からの経過期間だけではなく、次の項目を確認して判断します。

  • 日常生活で痛みがない
  • 肩鎖関節の圧痛が軽減している
  • 腕を必要な範囲まで動かせる
  • 肩周囲の筋力が回復している
  • 腕立て伏せなどで身体を支えられる
  • 投球やスイングを繰り返しても痛みが出ない
  • 軽い接触を受けても問題がない
  • 練習後や翌日に症状が悪化しない
  • 医師から競技復帰の許可が出ている

ラグビー、柔道、アメリカンフットボールなどでは、通常の筋力トレーニングに加えて、転倒、受け身、タックル、接触への段階的な準備が必要です。
プラストレーナーズでの取り組み
  • 肩鎖関節の痛みや圧痛の確認
  • 肩関節と肩甲骨の可動性評価
  • 腱板・肩甲骨周囲筋の筋力強化
  • 押す・引く・持つ動作のトレーニング
  • 手をついて身体を支える能力の回復
  • 投球やウエイトトレーニングへの復帰
  • コンタクトスポーツへの段階的な復帰
  • 手術後に残った可動域・筋力低下への対応

医療機関から指示された運動制限や治療方針を確認し、安全に配慮しながら進めます。

このような方はご相談ください
  • 肩鎖関節損傷・肩鎖関節脱臼と診断された
  • 転倒後から肩の上が痛い
  • 鎖骨の先端が浮き上がっている
  • 腕を上げる、反対側へ動かすと痛い
  • 病院で保存療法を勧められた
  • 腕立て伏せやベンチプレスへ戻りたい
  • 投球やコンタクトスポーツへ復帰したい
  • 病院でのリハビリ終了後も筋力に不安がある
  • 肩鎖関節脱臼の手術後にトレーニングを続けたい

肩鎖関節の痛みが軽くなることだけでなく、腕を上げる、物を持つ、身体を支える、接触に耐える機能まで段階的に取り戻します。