2015.5.17
投球障害肘の病態解釈と治し方
~ “肘を治す”ための機能解剖学的アプローチ ~
講師:福吉 正樹 先生
名古屋スポーツクリニック リハビリテーション科
整形外科リハビリテーション学会 上級指導員:AA
参加者:49名
(理学療法士、作業療法士、柔道整復師、鍼灸師、トレーナー)

*投球障害肘について
投球障害肘(特に内側部障害)は外反ストレスにより引き起こされるが、投球により内側側副靭帯に加わる外反ストレスはその靭帯そのものの破断強度と同等とされており、靭帯のみならず前腕屈筋群による動的支持機構が重要な役割を果たす。
動的支持機構として、円回内筋、橈側手根屈筋、浅指屈筋、尺側手根屈筋が挙げられるが、これらのオーバーユースを基盤とした機能不全が内側上顆での付着部炎や内側側副靭帯損傷、内側上顆下端・骨端線損傷に発展する。
上腕骨離断性骨軟骨炎などの外側部障害や後方部障害についても同様に、関連する筋や脂肪体等の軟部組織になんらかの機能障害が存在している場合がほとんどである。
よって、投球障害肘の治療には内側部動的支持機構を始めとする関連組織の機能改善が必要である。
*評価や治療について
骨・靭帯・筋を正確に触診できる技術が必要である。
(触診した組織:内側上顆、内側側副靭帯(前部・後部)起始~停止、円回内筋、橈側手根屈筋、浅指屈筋、尺側手根屈筋、尺骨神経、上腕三頭筋(内側頭)、後方脂肪体、上腕筋、長橈側手根伸筋)
エコー(超音波検査)は炎症の有無や損傷の程度だけでなく筋機能等軟部組織評価も可能であり、機能解剖学的リハビリテーションには有用な評価法である。
また、上腕骨離断性骨軟骨炎は上腕骨滑車軟骨面の形態が発生要因と考えられるため(福吉正樹, 日肘会誌 18:230-233, 2011)、野球肘検診では上腕骨小頭の病変のみでなく上腕骨滑車軟骨面の形態も評価しておくべきである。
治療には選択的ストレッチや反復収縮などを用い、筋の過緊張等を改善し滑走性を高めることで動的支持機構としての機能改善を図る。また上腕筋や長橈側手根伸筋、上腕三頭近内側頭などは長軸方向への伸張性だけでなく横方向への広がりも重要となる。
*まとめ
投球障害肘に対するアプローチとして投球フォームの修正や運動連鎖的視点も重要でははあるが、疼痛が肘に存在する以上は何らかの病態がそこに存在しており、肘関節における機能解剖学的な病態把握のもとに適切な運動療法が提供されるべきである。
選手や指導者、保護者の方には難しいと思いますが、医療従事者が最新の知見を共有し意見交換することが、野球選手のためになると思います。
今後もいろいろな勉強会を開催していきたいですね

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