野球選手、特に投手は
全身を大きく使った投球動作を行うため
全身的に高い柔軟性が必要となります。
全身的に柔軟性が低いと
十分に連動した投球フォームで
ピッチングすることができずに
肩や肘、腰などに負担がかかりやすい
球速が上がらない
コントロールが悪い
スタミナがない
などといった問題が起きます。
そこでこれまで「投手に必要な柔軟性について」と題して股関節周囲の柔軟性に焦点を当てて以下の7題を書いてきました。
(1)『前屈・ハムストリングス』の柔軟性について
(2)『開脚前屈・またわり』について
(3)『股関節屈曲』の可動域について
(4)『股関節外旋・屈曲』について
(5)『股関節伸展』可動域について
(6)『こしわり』について
(7)『股関節内旋』について
今回からは股関節以外の柔軟性について書いていきますが、股関節の柔軟性は非常に重要ですのでぜひご一読ください。
さて今回は
『前胸部・体幹回旋』の柔軟性
について書いていこうと思います。
前胸部・体幹回旋と言われても
どこのどんな動きなのか
良くわからない方も多いと思いますが
ピッチングフォームでは
捻転や胸の張りが非常に重要となり
そういった動きを作るために必要な柔軟性です。
この『前胸部』の柔軟性は
野球肩や野球肘との関連も非常に強く
2012年の東海スポーツ傷害研究会にて
【前胸部柔軟性低下と投球障害の関連】
という演題で研究発表をしています。
簡単に説明すると
前胸部の柔軟性は
- 15歳以上では
- 痛みなし>野球肘>野球肩
- 15歳未満では
- 痛みなし=野球肘>野球肩
という結果で、どちらの年代でも
痛みのない選手は前胸部柔軟性が高く
『前胸部柔軟性と投球障害は関連性が高い』
と考えられました。
この研究だけでなく
実際に色々な選手を見させてもらっても
この前胸部柔軟性が高い選手は
あまり肩や肘の痛みを訴えず
仮に痛みが生じたとしても治りやすい
という傾向があります。
逆に前胸部柔軟性が低いと
痛みが生じやすく治りにくい
場合が多いです。
また体幹回旋可動域はこの研究で用いた
前胸部柔軟性の評価方法で同時に評価できるため
今回の内容に含めておきたいと思います。
さてその前胸部と体幹回旋の柔軟性が
どの程度必要なのかというと![]()
- 骨盤は横向きで
- 投球側の肩がマットにつく
つまり
前胸部と体幹で
90°以上の回旋が出来る柔軟性が
必要ということです。
ちなみに
前胸部と体幹の回旋が硬い場合![]()
少し評価方法が異なりますが、右肩をマットにつけた状態だと骨盤が真横まで向きません。無理に向ければ肩が浮いてしまいます。
関連する筋肉としては
大胸筋、小胸筋、腹直筋、腹斜筋、前鋸筋などとなります。
先ほどの研究では腰椎の動きはなるべく排除して胸郭の動きをメインで評価しましたが、この写真の方法では腰椎の回旋も大きく影響してきますので前胸部の柔軟性評価としては不十分になりますが簡易的な方法としてご紹介します。
ここの柔軟性が低下していたり
不足している場合は投球動作において
- 捻転差が十分に使えずに手投げになる
- テイクバックで肩甲骨が使えずに肩や肘に負担のかかるフォームになってしまう
というような問題が起きてきてしまいます。
☆なかなかパフォーマンスが上がらない
☆球速が伸びない、キレが悪い
☆コントロールが良くない
★野球肩や野球肘、腰痛などのケガが治らない
★治っても再発を繰り返してしまう
というような状態で悩んでいる選手は一度、前胸部と体幹回旋の柔軟性をチェックしてみてください。
急にパフォーマンスが落ちてきた、調子が悪くなったという選手は、技術的な問題より柔軟性や筋力などフィジカル面のコンディションが悪いことが原因ということがよくあります。
プラストレーナーズ
伊藤孝信
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