野球選手、特に投手は
全身を大きく使った投球動作を行うため
全身的に高い柔軟性が必要となります。
これまで「投手に必要な柔軟性について」と題して股関節周囲の柔軟性に焦点を当てて以下の7題を書いてきました。
- (1)『前屈・ハムストリングス』の柔軟性について
- (2)『開脚前屈・またわり』について
- (3)『股関節屈曲』の可動域について
- (4)『股関節外旋・屈曲』について
- (5)『股関節伸展』可動域について
- (6)『こしわり』について
- (7)『股関節内旋』について
そして股関節以外の柔軟性としては
- (8)『前胸部・体幹回旋』の柔軟性について
を書きました。
今回も
引き続き上半身の柔軟性について
書こうと思います。
ピッチングにおいて
「肘を使い方がうまい」
「肘が柔らかい」
という表現がよくされますが、
肘関節はあくまでも
曲げ伸ばししかできない関節で
そう見えるのは
『肩関節の外旋』という運動が
十分に行われているためと考えられます。
またこの『肩関節外旋』には
胸椎の伸展や肩甲骨の後傾という運動が
連動し【しなり】を生む働きもありますので
これらをまとめて
今回は【肩関節外旋・胸椎伸展・肩甲骨後傾・しなり】として書いていきます。
【しなり】という運動は野球経験者であればイメージできる動きだと思いますが、前回の『前胸部・体幹回旋』の柔軟性と今回の「肩関節外旋」「胸椎伸展」「肩甲骨後傾」が合わさり表現される動きです。
ピッチングフォームにおいて
このしなりがうまく作れると
- 球威・球速が上がる
- コントロールがよくなる
- 打者に打たれにくい
- 肩や肘の負担が少ない
というようなメリットがあり
逆にしなりがうまく出来ないと
- 球速が上がらない
- コントロールにバラつきが出る
- タイミングを合わせられる
- 手投げとなり肩や肘の負担が大きい
などといったデメリットが出てきます。
この「しなり」を作れるかどうかは
テクニック・技術面も関与しますが
まずはしなりを作るために必要な
関節の可動域がなければ話にならないので
そのしなりを作るために必要な可動域は
どれくらいなのかをご紹介します![]()
まずは肩関節外旋
厳密にとはいきませんが肩甲骨がなるべく動かないようにしています。
- ベッドから肘から先だけを出し
- 後ろに捻る角度(外旋)が120°以上(ベッドの面から30°)
そして胸椎伸展と肩甲骨後傾も併せて
- 胸を張り背中を浮かせて
- 外旋角度が150°以上(ベッドの面から60°)
関連する筋肉としては
インナーマッスル(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)、三角筋、大胸筋、小胸筋、広背筋…書けばキリがないくらい多くの筋肉が関与しています。
この動作の柔軟性が低いと
先に書いたようなデメリットがあり、
【さらに】
胸郭・肩甲骨・肩関節で作れなかった分のしなりを『曲げ伸ばししかできない肘関節』で無理に補完させなければいけなくなり
- 内側側副靭帯損傷
- 内側上顆剥離骨折
- 前腕屈筋群損傷
というような投球障害肘が発症するリスクが高まります。
肩関節外旋、胸椎伸展や肩甲骨後傾、前胸部の柔軟性不足で十分なしなりが作れない選手は、無理に外旋可動域を広げようとせず、インナーマッスルのストレッチやリラクセーション、肩甲骨と胸椎の可動性を高めることに取り組んでみてください。
☆なかなかパフォーマンスが上がらない
☆球速が伸びない、キレが悪い
☆コントロールが良くない
★野球肩や野球肘、腰痛などのケガが治らない
★治っても再発を繰り返してしまう
というような状態で悩んでいる選手は一度、しなりの動きをチェックしてみてください。
急にパフォーマンスが落ちてきた、調子が悪くなったという選手は、技術的な問題より柔軟性や筋力などフィジカル面のコンディションが悪いことが原因ということがよくあります。
プラストレーナーズ
伊藤孝信
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