高校球児の野球肘に対するコンディショニング&トレーニングの様子をご紹介します。
二ヶ月ほど前にスローイングにより肘の内側部痛を生じ、スポーツ整形外科を受診し「内側側副靭帯(MCL)損傷」の診断を受けています。
受傷直後は肘の曲げ伸ばしは出来るものの完全伸展(伸ばし切った状態)と完全屈曲(曲げきった状態)で肘内側に痛みを生じていました。
また野球肘の特徴的理学所見である外反ストレステストでは強陽性であり、内側側副靭帯及び周囲筋群の圧痛も陽性でした。
野球肘から競技復帰して再発せずにプレーを続けていくには、患部である肘へのアプローチだけではなく肩関節や肩甲骨、体幹、股関節などの機能改善とフォーム修正が必要です。
とは言っても、肘の状態が悪くては復帰できないので、まずは肘の可動域や外反ストレステストなどの理学所見で問題がなくなるまで患部の状態を良くしてから患部外への対応となります。
今回の場合は
筋緊張が亢進していた
手関節及び手指屈筋群と
上腕三頭筋の筋緊張を落とし
筋を緩めることで
完全屈曲での痛みは消失し
完全伸展時の痛みもほぼ消失したため
損傷組織の治癒促進を狙い
超音波治療も取り入れて進めていきました。
肘周囲筋のコンディショニングと並行して
筋力強化も行っていきます。
緩める前の筋肉の硬さは、疲労や負担で過緊張を起こしておりしっかり伸びることも機能的に縮むこと(収縮すること)もままならない状態の硬さですが、十分に緩めてからトレーニングを行うことで機能的な硬さが得られ関節を守ることができます。
*冒頭の写真のリストカール
*トライセプスエクステンション(下)
患部外トレーニングとしては、肩関節や肩甲骨周り、胸椎、胸郭、股関節、足関節などの可動域(柔軟性)を十分に獲得することを最優先に行います。
股関節や肩甲骨などの柔軟性が不十分なために投球フォームを肘に負担の少ない形に出来ずに再発を繰り返している選手は非常に多いです。
まずはしっかりと動く(柔らかい)身体を作り、そこから筋力強化を図ります。
今回は部活のトレーニングでウエイトトレーニングは十分に行っている選手でしたのでレッドコードを使った体幹トレーニングを中心に行いました。
肘の状態が悪くすぐに痛みが取れないケースでも肘のケアと患部外コンディショニングやフォーム修正を並行して行っていきますが、患部外の状態が良くなってくると肘の状態も上がりスローイングレベルが上げられる選手が多いですね。
さらにコンディショニング&トレーニングにしっかりと取り組めた選手は復帰後にパフォーマンスが上がっていることが多いです。
傷んでいる内側側副靭帯の治癒には時間が必要(超音波治療により短縮可能)ですが、肘のコンディションを良くし、患部外の状態を整えておくことで早期復帰と再発予防が可能になります。
今回は高校生を例に出しましたが、小学生でも中学生でもプロ野球選手でも対応はほとんど変わりません。ボールを投げる競技であればハンドボールなど野球以外でも同じですね。
野球肘と診断されて治療を受けているのになかなか良くならない選手や再発を繰り返す選手などは一度ご相談ください。
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伊藤孝信
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