オスグッド・シュラッター病は、成長期のスポーツ選手に多い膝の痛みです。

走る、跳ぶ、蹴るといった動作を繰り返すことで、大腿四頭筋から膝蓋腱を介して脛骨粗面へ繰り返し牽引力が加わります。
特に成長期は脛骨粗面の骨端部がまだ成熟途中です。そのため、スポーツによる繰り返しの牽引ストレスが症状につながりやすくなります。

では、オスグッドになったら何をすればいいのでしょうか。
PlusTRAINERSでまず重視しているのは、大腿四頭筋の柔軟性です。

ただし、大腿四頭筋をストレッチして終わりではありません。
なぜ大腿四頭筋に負担が集中しているのか。
そこまで考えて身体を見ていくことが大切だと思っています。
まず確認したいのは大腿四頭筋の柔軟性
オスグッドでは、大腿四頭筋、とくに大腿直筋の柔軟性低下が以前から指摘されています。

実際、オスグッドの原因やリスク因子を調べた研究では、大腿四頭筋の硬さは比較的一貫して報告されている要素の一つです。前向き研究でも、大腿四頭筋のタイトネスはオスグッド発症と関連していました。

大腿四頭筋は膝蓋骨、膝蓋腱を介して脛骨粗面につながっています。
そのため、大腿四頭筋が硬くなれば、膝を曲げる動作などで脛骨粗面に加わる牽引ストレスが大きくなることが考えられます。

だからオスグッドの選手を見るときに、大腿四頭筋の柔軟性を確認することは非常に重要です。
ただ、「踵がお尻につけば柔らかい」というような単純な見方だけでは十分ではありません。

骨盤や腰を動かしてごまかしていないかを確認しながら、大腿直筋までしっかり伸びているかを見る必要があります。

PlusTRAINERSでは、側臥位で骨盤をコントロールしながら大腿前面を伸ばす、いわゆるオベール肢位を応用した方法もよく使います。
大腿四頭筋を伸ばしているつもりでも、骨盤が動いてしまえば目的の部位に十分なストレッチが入らないことがあります。
大腿四頭筋が柔らかくても痛い選手がいる
ここからが大切です。

大腿四頭筋の柔軟性は十分ある。
それでもオスグッドになる選手はいます。

その場合は、単純に「もっと大腿四頭筋を伸ばそう」では解決しません。
僕たちが次に見るのが、股関節をちゃんと使えているかです。

例えばスクワットや着地動作で、股関節を曲げてお尻を使うことができず、膝ばかりを曲げて動いている選手。

こうした動作では、大腿四頭筋への依存度が高くなります。
本来であれば臀筋やハムストリングスも使いながら、股関節と膝関節で負荷を分散したい。

ところが、臀筋やハムストリングスの筋力が不足していたり、股関節を使う動作そのものが苦手だったりすると、結果として膝前面に負担が集中しやすくなります。

2025年のシステマティックレビューでも、オスグッドの選手では大腿四頭筋の硬さだけでなく、膝伸展筋力や一部の選手で股関節外転筋力など、複数の身体機能の違いが報告されています。つまり「大腿四頭筋だけの問題」と考えるには無理があります。
ハムストリングスが硬いことも膝への負担につながる
SLR、いわゆる脚を伸ばしたまま股関節を曲げるテストも確認します。
ハムストリングスの柔軟性が低いと、股関節を深く曲げようとしたときに骨盤が早い段階で後傾しやすくなります。

そうすると、股関節でしっかり身体を支えたり、負荷を吸収したりすることが難しくなります。
結果として膝を使う割合が増え、大腿四頭筋優位の動作になってしまうことがあります。

これはPlusTRAINERSで動作を見るときに重視している考え方です。

また、研究上もハムストリングスの柔軟性とオスグッドの関連は報告されています。筋骨格モデルを使った研究では、ハムストリングスの柔軟性が低い条件では、大腿四頭筋が発揮する累積筋力が増え、脛骨粗面への負荷が増える可能性が示されています。

ただし、だからといって全員がハムストリングスを伸ばせばいいわけではありません。
十分な柔軟性がある選手に、さらにストレッチを増やす必要はありません。
硬いなら改善する。足りない筋力があるなら鍛える。

その選手に何が足りないかを見ることが重要です。
臀筋とハムストリングスを「使える」ようにする
柔軟性が改善したら、次は筋力と動作です。
臀筋やハムストリングスは、ただ筋肉が強ければいいわけではありません。

スクワット、ランジ、ジャンプ、着地といったスポーツ動作の中で、実際に股関節を使って力を受けられることが重要です。

そのために、ヒップヒンジやRDL、スクワット、片脚系のトレーニングなどを使うことがあります。
ただし、これも種目をやればいいわけではありません。

RDLをしていても腰ばかり動いている。
スクワットをしていても膝だけでしゃがんでいる。
それでは目的から外れてしまいます。

股関節で曲がり、臀筋やハムストリングスで身体を支える。
この感覚をトレーニングの中で作り、最終的には走る、跳ぶ、切り返すといった競技動作へつなげていきます。
足首が使えないと、ジャンプの衝撃を膝で受ける
もう一つ見ておきたいのが足関節です。
特にバスケットボール、バレーボール、サッカーなど、ジャンプや着地を繰り返す競技では重要になります。

着地の衝撃は膝だけで吸収するものではありません。
足関節、膝関節、股関節を協調して使うことで、身体全体で衝撃を受け止めます。

ところが足関節の背屈可動域が不足していると、足首を使った衝撃吸収が十分にできず、膝など他の関節に負担が集中する可能性があります。

オスグッドと足関節背屈制限との関連も以前から報告されており、システマティックレビューでも足関節の運動学的な問題は関連因子の一つとして挙げられています。

ただ、ここでも「足首は柔らかければ柔らかいほどいい」という話ではありません。
スポーツでは足関節の適度なstiffnessも必要です。
必要な可動域は確保しながら、着地や切り返しではしっかり力を受け止められる。
動くことと、支えることの両方が必要です。
オスグッドだからスポーツを全部休む必要があるとは限らない
オスグッドになると、「成長痛だから休むしかない」と言われることがあります。

強い痛みが続いている場合や、日常生活でも痛い場合などは、一度競技負荷を大きく下げることも必要です。

ただ、オスグッドだから全員が完全休養しなければならないとは考えていません。
痛みの程度、症状の経過、競技、練習量、大会日程などを見ながら調整します。

ある程度プレーできていて、その後に症状が大きく悪化していないのであれば、負荷を調整しながら競技を続けることもあります。

一方で、何か月も痛みを抱えながらプレーし続けているのであれば、一度しっかり負荷を落とした方が結果的に早く戻れるケースもあります。

オスグッドの選手に対して、活動量の調整、痛みのモニタリング、筋力トレーニング、段階的な競技復帰を組み合わせた前向き研究では、12週で80%、1年後には90%の選手が改善を報告しています。ただし、これは対照群のない研究であり、「この方法が唯一の正解」という意味ではありません。

大切なのは、休むか、続けるかの二択にしないこと。
その時の状態に合わせて競技負荷を調整することです。
物理療法も使いながら、身体機能を変える
PlusTRAINERSでは、症状に応じて超音波などの物理療法も積極的に使うことがあります。
テーピングについては、症状や競技によってケースバイケースです。

ただし、物理療法だけを行って終わりにはしません。

現在の研究でも、オスグッドの保存療法について「この治療法が圧倒的に優れている」と言えるほどの質の高い比較試験はまだ十分ではありません。ストレッチなどには有効性が示唆されていますが、最適な保存療法はまだ確立されていません。

だからこそ、痛みをコントロールしながら、柔軟性、筋力、動作、競技負荷まで総合的に見ていく必要があります。
大腿四頭筋を伸ばして終わりではない
オスグッドのコンディショニングでは、大腿四頭筋の柔軟性は非常に重要です。

でも、「オスグッドだから大腿四頭筋をストレッチしておけばいい」では足りません。

大腿四頭筋がなぜ硬くなっているのか。
股関節を使えているのか。
ハムストリングスや臀筋は十分に働いているのか。
SLRは十分なのか。
足関節で衝撃を吸収できているのか。
ジャンプや着地で膝ばかりを使っていないか。

そこまで見ていく必要があります。
オスグッドで痛いのは脛骨粗面です。

でも、脛骨粗面だけを見ていても、その選手がなぜそこに負担を集中させているのかは分かりません。
大腿四頭筋を伸ばすことは大切です。
そのうえで、なぜ大腿四頭筋に負担が集中しているのかまで考える。

それが、オスグッドのコンディショニングでは重要だと考えています。

トレーナーズノート【オスグッド・シュラッター病】