食事にも気をつける。
身体のケアもする。
でも、睡眠時間は削る。
アスリートを見ていると、意外とこういう選手は少なくありません。
夜遅くまで自主練習をしたり、家に帰ってからさらにトレーニングをしたり。それ自体は頑張っている証拠かもしれません。
でも、そのために毎日寝る時間が遅くなっているとしたら、一度考えてほしいと思います。
身体を強くするのは、トレーニングしている時間だけではありません。
睡眠も、パフォーマンスを作るための大切な時間です。
寝不足では、持っている能力を出せない
睡眠不足になると、「なんとなく眠い」だけでは済みません。2024年のメタ解析では、急性の睡眠不足によって、スピード、爆発的なパワー、持久力、高強度の間欠運動、技術系のパフォーマンスなどが低下することが示されています。
以前、「キレ」についても書きました。
筋力やパワーを持っていても、その日にそれを発揮できる状態でなければキレは出ません。
睡眠も同じです。
せっかくトレーニングして身体能力を高めても、寝不足で試合や練習に入れば、作った能力を十分に出せない可能性がある。
これは非常にもったいないと思います。
トレーニングした後こそ寝る
トレーニングは身体に負荷をかける行為です。負荷をかけて、その後に食事を摂り、休養し、回復する。
この繰り返しで身体は適応していきます。
だから、「今日はトレーニングを頑張ったから、睡眠時間を削ってもいい」ではなく、「今日はしっかりトレーニングしたからこそ、しっかり寝る」と考えてほしいです。
アスリートを対象とした研究では、睡眠時間を延ばしたり、必要に応じて昼寝を取り入れたりすることで、身体的・認知的パフォーマンスが改善する可能性があります。現時点では研究数や質に限界はありますが、睡眠介入の中では「睡眠時間を確保すること」が比較的一貫して有効とされています。
特別なリカバリー方法を探す前に、まず寝る。
これはかなり基本的なことだと思います。
何時間寝ればいい?
一般の健康な成人では、米国睡眠医学会などが毎晩7時間以上を推奨しています。ただし、アスリートについては「全員8時間」「必ず9時間」という単純な数字では考えない方がいいでしょう。
アスリート向けの専門家コンセンサスでも、必要な睡眠量には個人差があり、トレーニング量、年齢、試合、移動、生活環境などを考慮して個別に考えることが勧められています。
実際、175人のエリートアスリートを調べた研究では、「十分休めたと感じるために必要」と本人たちが答えた睡眠時間は平均8.3時間でしたが、実際の睡眠は平均6.7時間。多くの選手が、自分で必要だと感じている睡眠量すら確保できていませんでした。
だから、「7時間寝たから大丈夫」と数字だけで判断するより、
朝起きられるか。
日中に強い眠気がないか。
練習で身体が重くないか。
疲労が抜けているか。
そうした自分の状態を見ることも大切です。
睡眠を削ってまで練習する必要があるのか
もちろん、仕事や学校、部活動、勉強などがあって、毎日理想通りに睡眠を取れるわけではありません。試合で帰りが遅くなる日もあるでしょう。
完璧を求める必要はありません。
ただ、スマホを見ているうちに1時間遅くなる。
なんとなく自主練習を追加して寝るのが遅くなる。
早朝練習があるのに、夜もいつも通り遅くまで起きている。
こういう睡眠不足が毎日の習慣になっているのであれば、見直す余地があります。
トレーニングを増やせば増やすほど強くなるわけではありません。
良い刺激を入れて、しっかり回復して、また良いトレーニングをする。
そこまでがセットです。
アスリートにとって、
トレーニング
栄養
睡眠
どれか一つだけ頑張ればいいわけではありません。
高価なリカバリー機器や特別な方法を探す前に、まず毎日の生活を見直す。
しっかりトレーニングする。しっかり食べる。そして、しっかり寝る。
当たり前ですが、長く良いパフォーマンスを続けるためには、この当たり前がとても大切だと思います。

