前回は、「キレ」は一つの能力ではなく、いくつかの身体能力や技術が組み合わさったものだという話をしました。

では、キレのある動きを出すためには、どんなトレーニングが必要なのでしょうか。
「速く動きたいなら、速い動きをたくさんやればいい」と思うかもしれません。

もちろん、それも必要です。
でも、その前に大切なのが、そもそも大きな力を出せる身体を作ることです。
まずは「出せる力」を大きくする
スポーツでは短い時間で力を出すことが重要です。
ただ、短時間で発揮できる力にも、そもそもの筋力が関係します。

最大筋力が高い選手ほど、ジャンプやスプリント、方向転換などのパフォーマンスでも有利になる傾向があり、筋力はさまざまな競技能力の土台になると考えられています。

だからPlusTRAINERSでも、キレを出したいからといって、軽い負荷を速く動かすトレーニングだけをするわけではありません。

基本的なウエイトトレーニングで、まず「出せる力」そのものを大きくする。
ここは大切です。
大きな力を「短い時間」で出す
ただし、筋力が強いだけでも十分ではありません。
例えばスクワットでは大きな力を出せても、スポーツでは同じように長い時間をかけて力を出せるとは限りません。

一歩目、ジャンプ、切り返しなどでは、かなり短い時間の中で力を発揮する必要があります。
ここで関係するのが、前回も出てきたRFD(Rate of Force Development:力の立ち上がり速度)です。
RFDは、力をどれだけ素早く立ち上げられるかを見る指標の一つです。

興味深いのは、RFDは爆発的に動くトレーニングだけでなく、高負荷の筋力トレーニングによっても改善する可能性があることです。

つまり、高重量トレーニングか、速く動くトレーニングか。
どちらか一方ではありません。

まず力を大きくし、その力を短時間で使えるようにしていく。この両方が必要です。
ジャンプやスプリントにつなげる
そこで、ウエイトトレーニングで作った筋力を、ジャンプやスプリントなどのより速い動きにつなげていきます。

例えばプライオメトリックトレーニングでは、着地から素早く跳び返すように、筋や腱が引き伸ばされた直後に力を発揮するSSC(Stretch-Shortening Cycle)を利用します。

こうしたトレーニングによって、ジャンプやスプリント能力が改善することは、複数の研究をまとめたメタ解析でも示されています。

ここでも大切なのは、ただたくさん跳ぶことではありません。
高く跳ぶ。速く動く。短い時間で力を出す。
その質が落ちない範囲で行うことが重要です。
「重いものを持つ」と「速く動く」をつなげる
キレを出すためのトレーニングを考えると、ウエイトトレーニングは重くて遅いから競技にはつながらない。
逆に、軽い負荷で速く動けばキレが出る。

というように分けて考えたくなります。
でも、実際にはそんなに単純ではありません。

  • 大きな力を出せること。
  • その力を短時間で発揮できること。


この二つをつなげていくことが重要です。

筋力を上げ、ジャンプやスプリント、メディシンボールスローなどを使って、その力をより速い動きへ変えていく。

僕はこれが、キレを作るフィジカルトレーニングの基本だと考えています。
ただし、ここまでやれば必ず「キレがある動き」になるわけでもありません。
身体能力が高くても、それを実際の動きの中でうまく発揮できないこともあります。

そして、十分な能力を持っている選手でも、「今日はなんとなくキレがない」という日はあります。

次回は、「疲労があるとキレは出ない」という話をしてみたいと思います。