PlusTRAINERSでは、50代以降のゴルファーの身体機能を見るときに、40cm程度の台から片脚で立ち上がれるかを確認することがあります。

見た目はかなりシンプルなテストですが、実際にはいくつかの能力が必要です。
まず必要なのは、自分の体重を片脚で持ち上げるだけの下肢筋力です。

特に膝を伸ばす大腿四頭筋だけでなく、股関節を伸ばす臀部やハムストリングス、内転筋群なども関わります。実際、40cmからの片脚立ち上がりができなかった高齢女性では、体重に対する大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋群の筋量が少なかったという報告があります。片脚立ち上がりテスト自体も、下肢の機能的な筋力や左右差を見る方法として研究されています。

でも、見ているのは筋力だけではありません。

片脚で立ち上がるためには、身体が横に流れないように支えながら、自分の重心を支持脚の上へ移動させる必要があります。

つまり、片脚で身体を支える能力、バランス、股関節や膝をうまく協調させる能力も必要になります。

ですから、40cmから立てなかったからといって「大腿四頭筋が弱い」と一つの筋肉だけの問題にするわけではありません。

体重、脚の長さ、関節可動域、姿勢、動作のうまさなどにも影響されます。

PlusTRAINERSでは、これをゴルフ専用の合否テストとして使っているわけではなく、今の身体が片脚でどれくらい自分自身を支えられるのかを見る一つのチェックとして使っています。
なぜゴルファーに片脚の能力が必要なのか
ゴルフスイングは両脚で立っているので、一見すると片脚筋力はそれほど関係なさそうに見えるかもしれません。

でも実際のスイングでは、左右の脚に均等に体重をかけたまま回っているわけではありません。

バックスイングからダウンスイング、インパクトにかけて、左右の足の圧力は移動します。地面を押して生まれる地面反力や足圧中心の移動はクラブヘッドスピードとも関連しており、熟練したゴルファーほど大きな地面反力を使う傾向も報告されています。

右打ちであれば、ダウンスイングからインパクトに向かう中で左脚は身体を受け止めながら支点となり、右脚で作った力を左側へ移していきます。

ここで重要なのは、単に「左脚に体重を乗せる」ことではありません。

動いている身体を片脚で受け止め、その位置を保ち、そこから力をクラブへ伝える必要があります。

片脚で自分の身体を持ち上げるだけの能力が十分でない人が、スイング中だけ強く地面を押し、安定して力を伝えることは簡単ではありません。

ゴルフのクラブヘッドスピードは、下肢筋力や下肢パワーとの関連も報告されています。特に、下半身でどれだけ仕事を生み出せるかは、クラブヘッド速度と関係しています。

だから、片脚立ち上がりができないから直接飛距離が落ちる、という話ではありません。

ただ、「飛ばしたい」と言っている人が、自分の体重を片脚で持ち上げる基本的な下肢機能を十分に持っているか。

これは一度見ておく価値があると思っています。
後半にスイングが崩れる人にも関係する
さらに重要なのが、18ホールを通して同じスイングを続けることです。
前半は調子がいいのに、後半になると身体が起きる、回転しにくくなる、ミスが増える。
こういう場合、技術だけではなく身体を支える能力の低下も考える必要があります。

下肢が疲労すると、片脚立位での姿勢制御が低下することが研究でも示されています。特に股関節や膝周囲の疲労は、姿勢制御に影響します。

もともとの筋力に余裕がなければ、18ホールを回る中で一回一回のスイングや歩行が、自分にとって相対的に大きな負荷になります。

前半は何とか支えられていても、疲れてくると下半身が安定しなくなる。

すると、股関節を使いにくくなったり、胸郭の回旋を下半身で受け止めにくくなったりして、結果としてスイングも変わってきます。

だから後半のミスを、「スイングが悪くなった」だけで片付けてしまうのは少しもったいない。

そのスイングを最後まで支えられるフィジカルがあるかどうかも見てほしいと思います。
40cmはあくまでスタート
40cmから片脚で立ち上がれることが、ゴルファーとして十分という意味ではありません。

体格や年齢によって難易度も変わりますし、ゴルフのパフォーマンスを直接判定するために標準化されたテストでもありません。

余裕がある人なら30cmへ下げれば、さらに高い相対筋力や身体コントロールが必要になります。

逆に40cmが難しい人なら、まずそこを一つの目安にして身体を作っていく。

スイングを変える前に、そのスイングを支えられる身体があるのか。

50代以降のゴルファーには、まずこういうところにも目を向けてほしいと思っています。