50代以降のゴルファーからよく聞くのが、

「最近飛ばなくなった」
「後半になるとスイングが崩れる」
「2日続けてラウンドするとかなり疲れる」

という話です。

そこでYouTubeを見て、もっと身体を回そう、切り返しを変えよう、手の使い方を直そう、とスイングを研究する。
もちろん技術練習は必要です。
でも僕は、50代以降のゴルファーほど、その前に自分のフィジカルに目を向けた方がいいと思っています。

飛距離が落ちるより前に、筋力やパワー、身体を支える能力そのものが落ちているかもしれないからです。
毎年少しずつ落ちるから、自分では気づきにくい
加齢による身体能力の低下は、ある日突然起こるわけではありません。
筋力や筋パワーは徐々に低下していきます。そのため、「去年より明らかに脚が弱くなった」と自覚することは意外と少ないものです。

日常生活も普通にできる。仕事にも行ける。毎週ゴルフにも行ける。
だから、自分では「まだ大丈夫」と思っています。

でも、生活するために必要な身体能力と、スポーツで高いパフォーマンスを出すために必要な身体能力は違います。

ゴルフのクラブヘッドスピードについて調べた2024年のメタ解析では、下肢・上肢の筋力やジャンプ能力、爆発的な力発揮などとの関連が報告されています。特に筋力やパワーは、ゴルフのスピードを考えるうえで無視できない要素です。

つまり、スイングだけを見ていても、土台となる身体能力が落ちていれば限界があります。
40cmから片脚で立てますか?
PlusTRAINERSでは、一つの簡単な身体機能のチェックとして、40cm程度の台から片脚で立ち上がってもらうことがあります。

これはゴルフ専用のテストでも、この高さをクリアすればゴルフが上手いというものでもありません。
ただ、50代以降の方では、40cmからでも片脚で立ち上がれないことが珍しくありません。

余裕があれば30cmにも挑戦できますが、まず40cmでも難しい。
ところが本人には、それほど脚力が落ちているという自覚がありません。

普通に歩けるし、階段も上れるからです。
でもゴルフでは、一回のスイングで身体を支え、下半身から力を伝え、18ホールそれを繰り返します。

下肢筋力が低ければ、同じスイングをするにも自分の最大能力に対する負担は大きくなります。
それなら後半に疲れやすくなっても不思議ではありません。
後半に崩れるのも、技術だけの問題ではない
前半はいいのに、後半になるとショットが乱れる。
これも「集中力がない」「スイングが悪くなった」だけではないと思います。

18ホールを歩くこと自体、高齢になるほど相対的な身体負荷は大きくなります。高齢男性を対象にした研究でも、18ホールのゴルフは若年者より高齢者にとって相対的に高い運動強度になることが示されています。

そこに下肢筋力不足が加われば、姿勢を保つこと自体にも余計なエネルギーを使います。
疲れてくると下半身で身体を支えにくくなり、股関節や胸郭も最初の数ホールと同じようには動かしにくくなる。

そうなれば、当然スイングも変わります。

つまり、
スイングが崩れた結果として疲れるだけではなく、身体が疲れた結果としてスイングが崩れている可能性もある。

ここはかなり重要だと思っています。
YouTubeを見る時間の一部を筋トレに
YouTubeにはゴルフのレッスン動画が大量にあります。
それを見ること自体を否定するつもりはありません。

でも、50代、60代になって飛距離が落ちた、後半に崩れる、身体が動かないと感じているのであれば、スイング動画を見ることより先にフィジカルを見直してほしいと思います。

股関節が十分に動かない。
胸郭が回らない。
片脚で身体を支える筋力がない。
身体を速く動かす能力も落ちている。

その身体で、YouTubeで見たプロや若い選手の動きを再現しようとしても難しい。
技術は、身体がその動きをできることが前提です。

50代以降なら、YouTubeでスイング動画を見る時間の一部を、筋力トレーニングに回した方が伸びる人はかなりいると思います。

実際、ゴルファーに対するレジスタンストレーニングをまとめた研究では、クラブヘッドスピードや飛距離の改善が報告されています。さらに2026年のメタ解析でも、身体トレーニングによってクラブヘッドスピード、ボール初速、キャリー、総飛距離が改善していました。
50代以降こそフィジカルを取り戻す
若い頃とまったく同じ身体に戻す必要はありません。
でも、何もしなければ身体能力は少しずつ落ちていきます。

だからこそ、50代以降は意識して筋力を維持する。できる人ならパワーも落とさない。股関節や胸郭の必要な動きも保っておく。

高齢の方に無理にジャンプをさせる必要はありません。PlusTRAINERSでも年齢や身体の状態を見ながら、まず安全に筋力や基本的な身体機能を確認します。まだ十分に運動能力がある年代なら、垂直跳びなどを使ってパワーを見ることもあります。

50歳以上を対象とした研究でも、レジスタンストレーニングによって下肢筋パワーは改善できます。年齢を重ねたから筋力やパワーは落ちる一方、というわけではありません。
ゴルフのために鍛える。それで十分です
健康寿命のために筋トレしましょう。
そう言われても、なかなかやる気にならない人もいると思います。

それなら、

もっと飛ばしたい。
後半も崩れたくない。
2日続けてラウンドしても元気でいたい。

そのためにトレーニングを始めればいいと思います。
ゴルフのために脚を鍛える。身体を動かす。しっかり食べる。

それを続けていたら、結果として10年、20年先の「立つ」「歩く」「階段を上る」といった能力も守ることにつながっていた。

それで十分です。

飛距離が落ちてきた時に、スイングばかりを疑わない。
飛距離より先に、自分の身体能力が落ちていないか。

50代以降のゴルファーには、まずそこに目を向けてほしいと思います。